🧠「風の谷のナウシカ」ゲーム化事件とは
映画『風の谷のナウシカ』（1984年公開）はスタジオジブリ設立前夜の名作として知られているが、実はこの作品には「宮崎駿が激怒した幻のゲーム化事件」が存在するという都市伝説がある。
そのゲームの名は『忘れじのナウシカ・ゲーム』。ナウシカがメーヴェに乗って空を飛び、王蟲（オーム）や蟲（むし）たちをシューティングで倒していくという内容だったとされる。
これに対して、宮崎監督は「虐殺するなんて何事だ！」と激怒。以降、ジブリ作品のゲーム化が一切許されなくなった――そんな逸話が、ジブリファンの間で語り継がれている。
📚出典と派生・類似伝承
この話の出典としてよく挙げられるのが、1988年に東映動画から発売されたMSX2用ゲーム『風の谷のナウシカ』である。
実際には、王蟲を撃つとゲームオーバーになるなど、ナウシカの思想に寄り添った内容だったのだが、当時のゲーム表現に対して宮崎監督が不満を抱いたという証言がある。
このエピソードは、音楽家・布袋寅泰が王蟲の鳴き声をギターで表現したことと同様に、スタッフ周辺の証言や過去のインタビュー、講演などで断片的に語られてきた。
関連情報：
- 『風の谷のナウシカ』MSX2版（1988年、東映動画）
- 書籍『ジブリの教科書1 風の谷のナウシカ』（文春ジブリ文庫）
- 久石譲音楽作品解説
🎬メディア登場・現代への影響
この事件をきっかけに、ジブリ作品は以後ゲーム化されることがほとんどなくなった。特に、アクションやシューティング系の作品としては皆無である。
現在でも、ジブリ作品がコンソールゲームになることは極めて稀であり、ファンの間では「ジブリ禁ゲーム令」とも呼ばれている。例外として『二ノ国』（LEVEL-5）などはジブリスタッフの関与があるものの、正式なジブリ作品とはされていない。
🔍考察と文化的背景
『風の谷のナウシカ』は、自然と人間、そして命に対する尊厳を描いた作品である。王蟲は単なる「敵」ではなく、崩壊した文明世界における浄化の象徴として登場する。
そんな王蟲を「撃ち殺す対象」として描いてしまえば、作品の根幹にあるメッセージが歪められてしまう。宮崎監督が「虐殺」という言葉を使ったのは、そこに強い倫理的矛盾を感じたからに他ならない。
商業的価値よりも作品のメッセージを重視する宮崎駿の姿勢が、この一件にも表れている。
🗺️出現地点
- ゲーム『風の谷のナウシカ』（MSX2版、1988年）
- ジブリ設立以前の徳間書店および東映動画の関連資料
- 宮崎駿の講演会や雑誌インタビュー（出典詳細は非公開だが複数の回顧録に記載あり）
📎関連リンク・参考資料
- スタジオジブリ 公式サイト
- ciatr『ナウシカの都市伝説まとめ』
- 『出発点 1979〜1996』（徳間書店、ISBN: 4198604032）
- 風の谷のナウシカ(Wikipedia)
💬編集者コメント・考察
この都市伝説は一部誇張や誤解も含んでいる可能性があるが、宮崎駿が作品の世界観を守ることに強い信念を持っていたのは確かである。
「王蟲を撃つナウシカ」を見てしまった監督の心情を想像すれば、たとえシューティング要素が物語に忠実だったとしても、それが表現手法として不適切だと感じたのだろう。
ジブリ作品の「ゲーム化されない」という現象の背後には、こうした思想的な背景がある。ファンがゲーム化を望む声を上げるときも、その哲学と思想に敬意を払うべきだろう。
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