🧠一緒に寝ているとは?
「一緒に寝ている」とは、インターネット掲示板「2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)」内の人気スレッド「死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?」、通称“洒落怖”に投稿された怪談のひとつである。2013年11月に投稿されたこの話は、ある女性の語りによって展開される実体験風の怪異譚であり、不動産業に関わる彼女と夫、その間に起きた“異変”が静かに、しかし確実に恐怖を呼び起こす。
特に印象的なのは、夫の目に映る「寝ているはずの妻の顔」が、夜ごとに少しずつ“何か”へと変化していく描写である。日常に潜む違和感が徐々に膨らみ、確信と恐怖へ変わっていく過程がリアルで、読者の心を強く掴む。
📖 一緒に寝ているあらすじ
語り手は不動産関係の仕事をしている女性。彼女は夫と猫と共に、関東南部のマンションで平穏な日々を送っていた。ある日、彼女が趣味として「死ぬほど洒落にならない怖い話(洒落怖)」スレに自分の体験を投稿したのをきっかけに、夫の様子が少しずつおかしくなっていく。
夫は、夜寝ているときにふと目を覚ますと、隣で寝ているはずの“妻”の顔が奇妙に見えると言い出す。顔が少しずつ違うような、まるで別人のような不気味さを感じているという。最初は寝ぼけているだけかと思っていた妻だったが、夫の態度はどんどん変わり、部屋の照明をつけたまま寝るようになったり、夜中に何かに話しかけていたりと、次第に精神的にも追い詰められていく。
ある晩、夫はとうとうこう言う――「あれ、本当にお前か?」「お前、昨日と顔が違うんだよ」
物語は、彼女が再びスレに現れ、「投稿を読んだ夫が変になってしまった」と語るところで幕を閉じる。
日常の中で、じわじわと“何か”が侵食してくる。この話には、説明のつかない恐怖が静かに潜んでいる。
▼元ソース(クリックで表示)
元ソースは「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」スレッド
977 :本当にあった怖い名無し:2013/11/03(日) 15:34:25.71 ID:JgvwbCzL0
先日分譲現場のお話をさせて貰った不動産屋の清水(仮名)です。
あ、前回書いていなかったのですが、私は32歳の既婚♀です。
あの投稿の後日談と言うか、今少し困ったことになっているので、
皆さんに聞いて欲しくて再びこちらに書き留めさせて貰いたいと思います。我が家は子供がおらず共働き家庭で、13歳になる老猫♂とで暮らしています。
夫も洒落怖スレをROMするのが大好きなのですが、前回の分譲現場の体験談は夫には内緒にしていました。
投稿した晩、先に帰宅していた夫が私の投稿を見ながら、
「不動産業界って怖いんだなぁ、おまえも似たような仕事してるんだろ?気を付けなよ」なんて言うので、
「それ私の投稿だよ」って返してみたら、椅子から引っ繰り返って怯えてました(^_^;)それから今日で5日目、今回お話させて貰うのは、夫が話してくれたこの5日間の彼の体験談です。
978 :本当にあった怖い名無し:2013/11/03(日) 15:36:36.75 ID:JgvwbCzL0
我が家は寝室のダブルベットで夫婦+猫で一緒に寝ているのですが、
昨日の晩から、夫は客間として使っている和室に布団を敷いて寝るようになりました。
ここのところ、夫は体調が優れないようで気になっていました。
何だか様子も変で、あの投稿を見て以来、何となく私を避けているような気がして、
訳を聞いても「風邪をひいただけ、うつすわけにはいかないから…」の繰り返しでした。
今日は夫の仕事は休みで私は出勤日なのですが、
どうしても気になったので、今朝は会社に遅刻する旨を連絡して、
夫に事情を聞かせて欲しいと食い下がってみました。
根負けした夫は仕方ないと溜め息をついて、開口一番こう言いました。
「なぁ、おまえ誰なんだ?」979 :本当にあった怖い名無し:2013/11/03(日) 15:37:04.23 ID:JgvwbCzL0
「えっ!?」と思わず聞き返してしまいました。
この人は何を言っているのだろう。
結婚してもう10年になると言うのに何を今更…頭がおかしくなってしまったのかと心配になってしまいました。
「そうじゃないんだ、いや…」と口ごもる夫。
そわそわした素振りだったので、落ち着いて一から事情を説明して欲しいとお願いすると、
ポツリ、ポツリと話し始めました…以下、夫から聞いた話です。
980 :本当にあった怖い名無し:2013/11/03(日) 15:43:01.27 ID:JgvwbCzL0
私が前回の投稿をした日の真夜中、夫は尿意を催して目を覚ましたそうです。
部屋の灯りをつけて私を起こしたら悪いからと、枕元に置いてある携帯を手灯りにトイレへ行ったそうです。
夫の携帯は省電力モードにしているので、画面タッチ後に何も操作しなければ2,3秒程度で消灯してしまうそうです。
ですが、自分の位置等の大体の状況把握さえ出来れば良いので、それで良いのだそうです。用を足して真っ暗な寝室へ戻ってきた時、
ベットの位置を確認しようと携帯画面をタッチ、その時にライトが一瞬だけ私を照らしました。
私は寝る時に夫側を向いて横向きの姿勢で寝ることが多いのですが、その時もその姿勢だったようで、
照らされた私の顔を見て夫は一瞬わけがわからないと思ったそうです。
照らされた顔は私の顔とは別人の、見たことのない女性に見えたのだそうです。
「えっ?」と思い、再び画面をタッチして再び私を照らすと、
そこにはいつもの私の寝顔があるだけで、目の錯覚だったと思ってその日はそのまま寝たのだそうです。981 :本当にあった怖い名無し:2013/11/03(日) 15:44:04.59 ID:JgvwbCzL0
翌日の真夜中、やはり尿意で目を覚ました夫。
前日のこともあって、夫は携帯を手にとって画面をタッチし、まず私の顔を照らしたそうです。
そこにいたのはやはりいつもの私。
夫はやはり昨日のは気のせいだと思ってトイレに行き、
寝室に戻ってきてベットを照らそうとライトを傾けた瞬間、心臓が止まりそうになったそうです。
そこにいたのもいつもの私、そこにあったのもいつもの私の顔…ですが、
カッと目を見開いていた私の顔だったそうです。
フッと消灯するライト‥すかさず画面をタッチし、もう一度照らすといつもの私の寝顔…
「身近な人間が霊体験をしたと知って変に意識しすぎているのだろう。
ここで私を起こして今起こったことを話してもきっと笑われてしまうだけだろう…」
そうやって自分を納得させて寝に就こうとしました。
目を見開いた私の顔‥見たのは一瞬でしたが、
いつもの私の表情に別の何かが重なっているようにも見えたそうです。
脳裏に焼き付いたそれが頭から離れず、考えれば考えるほど恐怖心が勝って、
その夜は一睡もできなかったそうです。982 :本当にあった怖い名無し:2013/11/03(日) 15:45:18.77 ID:JgvwbCzL0
三日目、真夜中に目を覚ます夫。
その晩は尿意ではなく、凍えるような寒さで目を覚ましたそうです。
とは言え、11月1日‥つい先日のことですが、関東南部に住んでいる皆さんはそんな寒さを感じたでしょうか?
少なくとも私は肌寒い程度にしか感じていませんでしたが、
夫は吐く息が真っ白なほどの寒さで目が覚めたと言っていました。
身震いするような寒さでガクガク震え、毛布に包まって寝返りをうち、私の方を向くと、
私は夫の方を向いて、白い息を吐きながらスゥスゥと寝息をたてていたそうです。
ホッとはしたものの、その吐き出される息がとても冷たかったそうで、
たまらず私に背を向ける姿勢で眠りに落ち、目が覚めたら風邪の諸症状が出て調子を崩していたのだそうです。983 :本当にあった怖い名無し:2013/11/03(日) 15:46:31.87 ID:JgvwbCzL0
四日目、つまりは昨夜、夫は四度目の深夜覚醒をしたそうです。
いつも一緒に寝ている猫の唸り声が目覚めの切欠だったそうです。
我が家の猫は時々、この子は犬なんじゃないかと思えてしまうほど誰に対しても人懐っこく甘えん坊な性格で、
普段は私の布団の中で一緒に寝ています。
ですが、昨夜は夫が気付いた時には夫の胸元にいて、
私の方に向かって恐ろしく低い唸り声をあげていたのだそうです。
この子は飼い始めた頃に尿路結石にかかって苦しんでいた時期があったのですが、
その時期にあげていた地の底から聞こえてくるような唸り声だったそうです。
真っ暗な寝室の中で私に向かって唸る猫を確認し、
夜目の利く彼にしかわかり得ない何か異常なことが起こっていると察した夫…
携帯を手繰り寄せるや否や画面にタッチし、私を照らし、息を飲んだそうです。984 :本当にあった怖い名無し:2013/11/03(日) 15:47:21.34 ID:JgvwbCzL0
私の顔が、私の顔ではなかったそうです。
そこにあったのは一日目に見た女の顔…
目だけは異様に爛々と輝かせて、白い息を吐きかけてくる私とは違う顔の女…
夫は唸り続ける猫を抱きかかえてベットから飛び離れたそうです。
「今後こそ見間違いじゃない」
そう思って携帯画面をタッチして照らすと、
そこには先程の女とは違う顔‥見たことのない物憂げな表情の中年の男…
ライトが消える‥画面をタッチする‥恰幅の良さそうな別の顔の男の顔…
ライトが消える‥画面をタッチする‥やつれた中年女の顔…
ライトが消える‥画面をタッチする…また別の顔…
同じ行程を繰り返し、その度に現れる別の顔に恐怖しながら、
夫は私を起こそうと何度も名前を呼び続けていたそうです…
だけど私は目覚めない…
堪らず私の(?)顔に自分の布団を掛けて寝室を飛び出し、
猫を抱きかかえながら和室に閉じこもり、震えながら一夜を明かしたそうです。985 :本当にあった怖い名無し:2013/11/03(日) 15:48:40.73 ID:JgvwbCzL0
「おまえは今、おまえなのか?」
話し終えて夫が聞いてきましたが、当の私は全く覚えていない状況です。
現に今も普段と何も変わらず仕事をしてますし、周りの社員の皆も普段通り接してくれてますし…。
取り敢えず、「あんたはそうやってまた遠回しに私を不細工だって言いたいのね」と言って仕事に出てきましたが、
夫の話を聞いて、鏡を見るのが少し怖くなってしまいました。
今のところ、夫に風邪をひかせたぐらいの実害しかないようですが(^_^;)
本当に何かを連れてきてしまっているのなら、もっと洒落にならない状況になられても困るので、
今度の休みに近所の神社やお寺に行ってみようと思います。またまた長文投下になってしまいましたが、読んでくださった方、ありがとうございました。
最後に、こういう場合、神社に行くべきなんでしょうか?お寺に行くべきなんでしょうか?
📚出典と派生・類似伝承
本作の原作は、2013年にインターネット掲示板「2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)」内の人気スレッド「死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?」、通称“洒落怖”に投稿された怪談のひとつである。
この話は「誰かと一緒に寝ていたはずが、相手が別の“何か”に変わっていく」という古典的な怪談の系譜に属する。類似のテーマを持つ作品としては以下のようなものが挙げられる:
- 「死ぬほど怖い話」シリーズ:日常の中で身近な人間が“誰か”にすり替わっているというパターンが多く見られる。
- 口裂け女や八尺様:身近な人間に擬態する異形の存在という意味で通じる。
- 古典文学『今昔物語集』にも、夜な夜な妻が鬼に変じるという話が存在する。
このように、“親しい誰か”が“何か別のもの”に変わっていくというモチーフは、古今東西の怪談・民話に広く見られる。
🎬メディア登場・現代への影響
2020年代以降の洒落怖ブームの再燃により、「一緒に寝ている」は以下のようなメディアに取り上げられ、再注目された。
- YouTubeの朗読系ホラーチャンネル
- 怪談朗読アプリやポッドキャスト
- TikTokやX(旧Twitter)での洒落怖再現シリーズ
- AI読み上げによる「洒落怖Bot」による拡散
また、この話は2020年以降の「異常な家族系ホラー」とも親和性が高く、近年のJホラー映画に見られる“家庭という密室の恐怖”にも通じている。
🔍考察と文化的背景
この話の恐怖の本質は、「他者化された最も身近な存在」にある。つまり、夫が見ている「妻」は確かに隣に寝ているのだが、日に日に“彼女ではない何か”に侵食されていく。その正体が明確に語られることはなく、終始“違和感”と“確信できない恐怖”が支配する。
この手法は、ホラー文学における「アンキャニーバレー(不気味の谷)」的恐怖とも呼応する。人間に極めて似ているがどこか違う存在に対する嫌悪と恐怖――それが「一緒に寝ている」の根底にある。
さらに、“妻が投稿した洒落怖を夫が読んだこと”がトリガーになっている点にも注目したい。情報との接触が怪異を招くという設定は、現代ホラー、特に『リング』シリーズ以降の“情報感染型ホラー”とも共通している。
🗺️出現地点
物語の舞台は関東南部と明言されている。具体的な地域名は明かされていないが、夫婦が共働き・猫と生活・分譲マンションといった都市生活者的な描写から、都内または神奈川・千葉・埼玉あたりのベッドタウンが想定される。
また、怪異が起こるのは「寝室」という極めてプライベートな空間である。この“最も安心できる場所が侵される”という構図が読者の心を深くえぐる。
📎関連リンク・参考資料
💬編集者コメント・考察
「一緒に寝ている」は、派手な怪奇現象や直接的な恐怖表現がほとんどないにも関わらず、読後に強烈な余韻を残す稀有な作品である。夫婦という最も身近な関係性を土台にしながら、「妻であって妻ではない何か」が忍び寄るという構造は、日常の安心が一転して不安になる過程を鮮やかに描いている。
また、話が終わっても“何も解決しない”点も恐怖を深化させる要素である。読者は「じゃあ本当に妻は誰だったのか?」「夫は今も一緒に寝ているのか?」という余白を残されることで、妄想と不安を増幅させられる。
洒落怖の中でも、「日常×じわじわ系怪談」の金字塔的な作品であり、今後も語り継がれるべき名作である。
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