🧠「タレント」とは
「タレント」とは、1984年7月20日(金)に放送されたと噂されている、国民的アニメ『ドラえもん』の謎の回である。あるいは1983年9月16日放送とも言われるが、どちらにせよ正式な記録には残っていない「幻のエピソード」である。
このエピソードが放送されたとされる日は、1984年7月20日(金)。
一方で、1983年9月16日(金)に放送されたという説も存在する。
しかし、これらの日付のテレビ欄(例:朝日新聞)や、放送記録においては、別のエピソードが放送されたと明記されており、
- 1984年7月20日 → 「のび太の童話旅行」「四次元ポケットのスペア」
- 1983年9月16日 → 「ひっこし地図」「コース決定機」「しりとり変身カプセル」
となっている。
それでもなお、「一度限りの、極めて異質な回が存在した」と主張する声は消えておらず、これは「タレント」なるエピソードの存在を強く示唆している。
🎞 エピソードの概要(とされるもの)
最も広まっている「タレント」の内容は以下の通りである:
- 雨の降る校庭で、のび太が「地下世界の商店街へ行きたい」とドラえもんに頼む
- 空き地で通り抜けフープのような道具を使い、地下へと飛び込む
- 到着したのは地底とは思えない、明るく静かな部屋(照明はない)
- そこに現れたベレー帽をかぶった少女が、赤い封筒、インク、鉛筆を2人に手渡し、立ち去る
- 追いかけると、警官のような異形の人物たちに「撮影ならアチラ」と案内される
- 木琴のような板が並ぶ通路を進むと、巨大な地球のミニチュアに到着
- その地球が真っ二つに割れ、黒い血のような液体が流れ出す
- 驚いたのび太とドラえもんが震えて抱き合ったところで終了
別バージョンの目撃談も存在しており、いずれも以下の特徴を持つ:
- 場面転換が唐突で、空き地や商店街などに突然飛ぶ
- 知らない人物が複数登場する(名前なし、表情も曖昧)
- 作画の質が極端に低く、キャラの顔が歪んでいたり、色味がおかしかったりする
- ストーリーの脈絡が希薄で、夢のような不条理感がある
🧩「ビタレント」という名前の意味
一部では、「ビタレント」という名称が正しいとされている。
- 最後に登場する、割れた地球のミニチュアが「ビタレント」と呼ばれていたという説
- または、少女から手渡された赤い封筒と道具一式のセットを指すという説もある
- さらには、番組制作側で便宜的に付けられたプロダクションコード的な名称だったのではないかという見方も
その真意は今も不明である。
📼 なぜこの回は消えたのか?
当時の関係者の一部証言(非公式)では、1984年頃、脚本・作画ともに完全に間に合わなかった回が存在し、収録も中止され、急きょ別映像をかき集めて放送されたことがあったとされる。
つまり、「タレント」は、
- 完成しないまま仮映像で放送された
- 不完全な作品ゆえに放送後すぐにお蔵入りになった
- テープが局内で処分・紛失された
という説が根強い。
また、「恥をかいた形での放送事故に近い回」であれば、局側が公式に存在を否認するのも当然であり、現在も公式なコメントは一切出ていない。
📡 限定地域での放送?
「タレント」は、日本全国で一斉に放送されたわけではなく、特定の市町村などごく狭いエリアのみで流れたという説もある。
この場合、
- 電波障害や送信ミスによる誤放送
- 地方局のテープ差し替え
- 中継エラーで間違った映像が流れた
といった技術的ミスの可能性が示唆されている。
ただし、証拠映像は存在せず、語り継がれる証言のみが都市伝説の核心となっている。
🧒 登場人物とビジュアルの異様性
証言に登場するキャラクターや演出には、異様な点が多く見られる:
- 静香とは明らかに違う、ベレー帽の少女
- 白と黄色の縞模様の学生服を着た少年
- 警官とは思えない異形の案内人
- 全体的に色味がくすみ、面長な顔、アニメとしての整合性がない
これらは明らかに正規のドラえもん制作体制とは異なるチーム、あるいは異なる意図で作られた映像である可能性を感じさせる。
🔍 現代における調査と話題化
2000年代以降、「タレント」はインターネット上の「都市伝説掲示板」などで注目されはじめた。
とくに「25年後(2009年前後)」を契機に再燃したと言われており、以下のような話が出ている:
- ニコニコ動画にアップされたという報告(のちに「釣り」だったと判明)
- 匿名掲示板での体験談の一致
- 内容の再現や考察を行う動画・ブログの増加
しかし、これまでに確固たる映像資料は発見されていない。
参考:ドラえもん放送年表
1973/4/1 | 日テレで放送(第1期)開始 |
1973/9/30 | 日テレで放送停止 |
1979/4/2 | TV朝日で放送(第2期)開始 |
1980/3/15 | 「のび太の恐竜」 |
1980/4/6 | 放送時間帯が日曜9:30~10:00に |
1981/10/2 | 放送時間帯が金曜7:00~7:30に |
1983/3/12 | 「海底鬼岩城」 |
1983/9/16 | 「タレント」放送? |
1984/3/17 | 「魔界大冒険」 |
1984/7/20 | 「タレント」放送? |
1985/3/16 | 「宇宙小戦争」 |
1987/3/14 | 「竜の騎士」 |
1990/3/10 | 「アニマル惑星」 |
1996/3/2 | 「銀河超特急」 |
1996/9/23 | 藤子・F・不二雄先生が亡くなる |
1996/9/27 | 「行かなくちゃ」放送? |
2005/3/25 | ワンニャン時空伝放送(大山ドラ最後の放送) |
2005/4/15 | 声優陣交代(水田ドラ最初の放送) |
2005/10/28 | OP曲が「ハグしちゃお」に |
2006/3/4 | 「のび太の恐竜2006」 |
2007/5/11 | OP曲が「夢をかなえてドラえもん」に |
2009/5/1 | OP映像変更 |
📚出典と派生・類似伝承
この話の最初のネット上での記録は、2000年代前半の個人運営サイト「狸のページ」にまでさかのぼる。そこで紹介されている「タレントの話」には、読者の記憶とネット考察を元にした再現ストーリーが掲載されている。
また、似たような「存在しない話なのに記憶している」という都市伝説は他にも存在する。たとえば『ドラえもん』における「のび太の死」「ドラえもんの最終回」など、公式とは異なるエンディングやストーリーがしばしば語られてきた。
「てんとう虫コミックス」にも「タレント」「ビタレント」といった話や道具は存在せず、アニメ公式のエピソード一覧にもこのタイトルは見当たらない。ニコニコ動画などに「発見された」としてアップロードされた映像も、後にフェイク(例:「お座敷釣り堀」)であることが判明している。
似たような放送事故・謎回の都市伝説には、以下がある:
- 『サザエさん』幻の最終回
- 『ポケモン』の“封印回”「でんのうせんしポリゴン」
- 『トトロの裏設定』や『ラピュタの別エンディング』などの都市伝説
🎬メディア登場・現代への影響
「タレント」の噂は、YouTubeやニコニコ動画、ブログや掲示板文化とともにインターネット上で広がりを見せた。現在でも「放送禁止回」「アニメの裏回」特集などで話題に上がることがあり、動画制作者たちによって解説動画や考察が多数投稿されている。
一部のホラー作家や都市伝説系ライターにも影響を与えており、2020年代にはこの回を元にしたフィクション短編や映像作品が投稿された例もある。
🔍考察と文化的背景
1984年当時のテレビアニメ制作現場はスケジュール的に非常に厳しく、脚本・作画の間に合わない回が存在したとされている。事実、当時の『ドラえもん』でも絵コンテやアフレコが追いつかず、間に合わせで編集されたことがあるという証言がある。
それゆえ、間に合わせで放送された“仮回”が後に封印された、という仮説には一定の現実味がある。また、「子どもの見る夢のような、意味不明で不条理な構成」という特徴も、日本のサブカルチャーや都市伝説的文脈において興味深い。
「タレント」という言葉が表すものが、番組の中で何を象徴していたのかも不明であるが、地球の割れた中から流れ出す「黒い血」は、現代社会の闇や偽りの世界を暗示していたのではないかという考察もある。
🗺️出現地点
放送日とされる:1984年7月20日(金)または1983年9月16日(金)
放送地域:特定地域(市町村レベル)限定の電波障害説あり
朝日新聞テレビ欄には正式回が記載されており、矛盾が存在
📎関連リンク・参考資料
💬編集者コメント・考察
「タレント(ビタレント)」の都市伝説は、アニメファンにとって一種の“ロストメディア”願望を刺激する要素が詰まっている。目撃証言、記録との矛盾、削除された映像、異様な演出――これらが揃ったことで、真偽は不明ながらも「信じたくなる物語」としての完成度が非常に高い。
もし実際に存在したとしたら、なぜ封印されたのか。単なる制作ミスだったのか、それとも放送コードに抵触した内容だったのか。
今後も検証の余地を残しつつ、昭和・平成をまたいだアニメと都市伝説文化の交差点として語り継がれていくだろう。
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