それは夜遅く、ひとり校舎に残っていたときのこと。
教室のドアが不意に開き、暗い廊下から誰かの足音が聞こえてきた。
振り返ると、足音はまるで自分の後ろを歩いているかのように聞こえてきて――。
今回の「学校の怪談体験談集2」では、夜の校舎での怪異や、不気味な足音の正体に迫る。
第1集の体験談からさらに恐怖の世界が広がる! もしかしたら、あなたの学校にも潜んでいるかもしれない不気味な存在とは…。
👟廃校の廊下に響く足音
(投稿者:T・Kさん/福岡県・20代男性)
僕が体験したのは、今からちょうど3年前の夏休みのことです。あれは、友達と一緒に廃校に肝試しに行ったときの話です。友達に誘われて、僕たちは「絶対に何も起こらないだろう」と思いながらも、怖いもの見たさで廃校の中を歩き回っていました。
その廃校は、僕が通っていた中学校から少し離れた場所にあり、かつて使われていた学校がある地域では「呪われた学校」として有名でした。長い間使われていなかったため、校舎はすっかり荒れており、どこか不気味な雰囲気を漂わせていました。
その日は、昼間でも薄曇りだったこともあり、学校の中は不気味な静けさに包まれていました。廊下を歩いていると、木の床がギシギシと音を立て、どこからともなく風の音が響いていました。最初はただの怖い話だと思っていましたが、次第にその空気が「何かおかしい」と感じさせるようになったのです。
僕たちは、校舎の中を進んでいき、最上階の廊下にたどり着きました。その廊下は、学校が閉鎖されてから長い間誰も足を踏み入れていないようで、壁のペンキは剥がれ、窓のガラスは割れていました。でも、それがまた不思議と怖さを倍増させていました。
その時、突然、足音が聞こえたのです。
最初は自分たちの足音だと思いましたが、それにしては響きが大きすぎるように感じました。しかも、足音の音が次第に近づいてくるような感じがしたんです。僕は思わず後ろを振り返りましたが、誰もいませんでした。友達も同じように感じたらしく、無言で顔を見合わせました。
「誰かいるのか?」
と友達の一人が声を小さく上げました。その瞬間、足音はさらに大きく、はっきりとした「ドス…ドス…」という音が廊下を響き渡りました。足音が段々と近づいてきているのが分かると、僕たちは恐怖で体が硬直してしまいました。
廊下の先に、誰かが歩いているのが見える気がしました。しかし、目を凝らしても、何も見えない。ただ、足音だけが不気味に響いているのです。
その足音は、最初はゆっくりとしたペースでしたが、だんだん速くなり、僕たちが全く動けないうちに、突如として静かになりました。あたりは、何も音がしない空間に変わり、息をするのも怖いくらいに感じられました。
もうその時点で、僕たちは完全に冷や汗をかいていました。さすがにこれ以上進むのは無理だと思い、急いでその場を後にしようと決めました。階段を駆け下りていくと、またあの足音が背後から聞こえたような気がしました。振り返る勇気もなく、ただひたすら階段を降りて、校舎を出ることに成功しました。
外に出た瞬間、ようやく僕たちは深呼吸をしましたが、足音が自分たちの後ろに本当にあったのか、もしかしたらただの幻だったのか、今でもはっきりとは分かりません。
ただ、その後、僕は何度もあの足音のことを思い返しました。あの廃校には、確かに何かが残っていると感じずにはいられませんでした。それ以来、あの校舎の前を通るたびに、あの足音が耳に残っていて、少し怖く感じます。
🎹音楽室のピアノの旋律
(投稿者:S・Mさん/東京都・20代女性)
これは、大学に通っていた頃に体験した、今でも鮮明に覚えている出来事です。あの時の夜、何気なくキャンパスの近くを歩いていた私は、突然、音楽室から聞こえる不思議な音に引き寄せられました。
その日は夏休み前の最終日で、夜も遅くなっていました。普段、音楽室には誰もいない時間帯です。だが、その時、遠くからピアノの音が響いてきたのです。最初はただの風か、誰かが練習しているのだろうと思っていたのですが、音楽室に近づくにつれて、何かが違うと感じました。
そのピアノの旋律は、ただの曲ではなく、まるで感情を揺さぶるような力を持っているように聞こえました。少し怖くなりながらも、私は足を進めました。「だれかが夜遅くに練習しているんだろう」と思い込むようにして。
音楽室のドアの前に立った時、私ははっきりと音が聞こえるのに、その部屋の明かりが一切ついていないことに気が付きました。誰もいないのに、ピアノは確かに弾かれている。こんなことがあるのだろうか? と思いながらも、私は恐る恐るドアを開けました。
ドアを開けると、予想以上に静かな空間が広がっていました。だが、そのピアノの音だけは途切れることなく、鳴り響いています。部屋の中には誰もいませんでした。ピアノの前にも誰も座っていない。机の上には何も置かれていない、ただ空っぽの部屋。
それなのに、音楽室の真ん中からは、はっきりとした旋律が流れ続けていたのです。最初は曲が持つメロディーに圧倒され、思わず立ち尽くしてしまいました。その旋律は、どこか不安定で、聴いている者を引き込んでしまうような力がありました。気が付けば、私はそのメロディーに体全体を引き寄せられるような感覚に襲われていました。
そして、ふと気づくと、音楽室全体が微かな震えを伴って揺れているように感じました。ピアノの音は次第に高く、切羽詰まったような響きになり、私の心臓の鼓動に合わせるかのように、速く激しくなるのです。
一瞬のうちに、その音楽室が別の世界のような異次元に変わってしまったように感じました。周囲の空気が重く、呼吸をするのが難しいほどでした。突然、足元がふらついて、思わず壁に手をついてしまいました。
その瞬間、音がぴたりと止んだのです。部屋の中が一瞬で静まり返り、まるで何もなかったかのように感じられました。私はその場からすぐに逃げ出したくなり、ドアに向かって後退りながら急いで部屋を出ました。
音楽室の扉を閉めた瞬間、再びその音が聞こえてきました。しかし、今度は少し遠くなったような気がしました。私はその後、音楽室を避けるようになり、あの日からピアノの音を聞くことは一度もありません。
今でも、あの時の不気味な旋律が耳に残っていて、時折その音が再び聞こえてくるような気がすることがあります。あの音楽室には、ただのピアノではない何かが宿っているような気がしてなりません。
🚲自転車に乗っているはずの人影
(投稿者:H・Yさん/大阪府・20代男性)
これは、私が高校生だった頃の出来事です。あの時、学校が終わった後、いつものように自転車で帰路に着いていました。いつもの道を走っていると、薄暗くなりかけた夕暮れ時、何か不自然なものを感じて、ふと前方を見ると、遠くの方に人影が見えました。
その人物は、どう見ても制服を着た学生のように見えました。制服の形、髪型、身長など、何もかもが私の通っている学校の制服にそっくりでした。何気なく目を凝らして見ていると、その人物がまっすぐ私の進行方向に向かっているのがわかりました。時間帯も遅く、誰かが通学帰りに遅くまで帰宅しているのだろうと思い、特に気にも留めませんでした。
ですが、その人物が少しずつ近づくにつれて、私は何か違和感を覚え始めました。距離が縮まるにつれ、その人物が異常に静かで、周りの空気が不自然に重い感じがしました。自転車を漕ぐ音も、自分の足音も、すべてが途絶えているかのような静けさに包まれていました。
そして、あの人物がじっと立ち止まった瞬間、私はその影を見つめることになりました。顔が見えないわけではなく、確かに顔を向けていたのですが、視線を合わせようとしても、その目のあたりがぼやけて、まるで実体がないような感じがしました。それが一瞬のうちに、背筋を冷やすような不安感を呼び起こしたのです。
「ちょっとおかしいな」と思ったのはその時でした。私は少し急いでその人物に近づき、声をかけようとしました。けれど、いざ声をかけようとしたその瞬間、突然、その人影が消えてしまったのです。
まるで最初からそこには誰もいなかったかのように、私の目の前から完全にその人物は消えていました。周りの景色は変わらず、道もそのままで、ただただ静寂が支配していました。立ち止まり、目を疑いました。確かにそこに誰かがいたのは確かだったし、私が見間違えるはずがありません。それなのに、今はその人物がいた場所には何もないのです。
あまりの不自然さに、私はその場に立ちすくみました。足元がふらつき、心臓が激しく鼓動を打っているのがわかりました。周りを見渡しても、その人物の気配は一切感じられません。まるで何かに取り憑かれたような気持ち悪さが、私の心に広がっていきました。
結局、私はそのまま自転車を漕いで帰ることにしましたが、その後、あの道を通るたびに、あの人物の姿が脳裏に浮かび、足がすくむような気持ちになってしまいます。今でも、あの人影が一体何だったのか、未だに謎のままです。
あれ以来、私はその道をできるだけ避けて通るようになりました。あの人影が、ただの幻覚だったのか、それとも別のものだったのか、わかりませんが、あの日の恐怖は今でも忘れることができません。
👻昼間の教室での奇妙な影
(投稿者:S・Aさん/東京都・20代男性)
これは、私が中学生だった時の出来事です。放課後、部活動もなく、特に急ぐ用事もなかったので、私は教室に残って勉強していました。学校の中は静まり返り、廊下を歩く足音さえも遠くに感じられました。教室の窓からは薄い日差しが差し込み、勉強には最適な時間帯でした。
その時、私は一人で机に向かって集中していましたが、ふと視線を教室の隅に移しました。そこに、何か不自然な影が映っているのに気づいたのです。最初は、ただの物影だろうと軽く考え、気にすることもなく勉強を続けました。
しかし、次第にその影が気になり始めました。普通なら、放課後の教室にいても、誰かが通りかかれば影が動くはずですが、あの影はじっとしているように見えました。思わずもう一度、視線を向けると、その影が教室の隅、窓の近くにひっそりと存在していることがわかりました。それでも、最初は気のせいだと思い込もうとしていました。
けれど、次の瞬間、何かがおかしいと感じたのです。目をそらして勉強を再開し、数分が経過した時、ふと振り向くと、その影が少しだけ近づいているのに気づきました。最初と同じ位置にいたはずなのに、今度は明らかに前に進んでいたのです。私はその時、心臓がドキッとしました。
「まさか、誰かがいるのか…?」
その瞬間、私は立ち上がり、恐る恐るその影がある場所に向かって歩きました。しかし、そこには何もありませんでした。まるで誰もいない空間に、ただ一人で立っているような、圧倒的な孤独感に包まれました。視界に入っていた影は、まるで空気のように消え去ったのです。
その時、背後から「ガタッ」と音がしました。振り向くと、机の上に置いていた教科書が落ちていました。それはまるで、誰かがその場にいた証拠を示すように、強く机の上から弾かれたように感じました。
急いで教室を出ようとしたその時、私は再びあの影が教室の隅に戻っているのを見ました。今度は、明らかに人の姿に見えました。その人影は、まるで私に気づいたかのように、じっと私を見つめているように感じたのです。全身が震え、手足が動かなくなり、何かに引き寄せられるような不安感が胸に押し寄せました。
気がつけば、私は教室のドアを勢いよく開けて、走り出していました。あの影を見た瞬間、足元が震え、ただただ走り去ることしかできなかったのです。その後、教室に戻ることは二度とありませんでした。
今でも思い返すと、あの時の教室の静けさと、その影の存在が不気味で仕方ありません。誰かがいたわけでも、物が動いたわけでもなかったのに、なぜあの影はあそこに現れたのか、今でもその謎は解けないままです。
🏊夜のプールサイドに現れる人影
(投稿者:M・Sさん/神奈川県・20代男性)
私が高校生の頃の話です。当時、部活の後に遅くまで残って勉強していた私は、夜遅くに学校を出ることが多かったのですが、その日もいつものように教室で勉強していました。校舎内はすっかり静まり返り、放課後の誰もいない学校に残っているのは私だけでした。
夜の学校は、普段とはまるで別世界のようで、どこか不気味さを感じることがありました。特にプールサイドは、夕方になるとほの暗くなり、そこを通るのが少し怖かったのを覚えています。けれど、その日はあまり気にせず、部活も終わった後に飲み物を買うために、いつものように校庭を抜けてプールに向かいました。
プールサイドは広く、普段は昼間にしか使わない場所です。夜になると、照明が薄暗くなり、プールの水面に映る自分の姿を見ながら、少し不安な気持ちになりました。プールに近づくにつれ、なんだか胸騒ぎがしてきました。気のせいかと思い、足を進めると、突然その時、プールサイドの端に見えるものがありました。
それは、薄暗い人影。誰かが立っているような気配がしました。最初は、校舎の中にいる誰かだろうと思いましたが、周りには誰もいないはずです。急に不安にかられ、足が重くなりましたが、どうしてもその影が気になり、少しずつ近づいてみることにしました。
その影は動いていないようでしたが、どんどん近づくうちに、はっきりとその姿が見え始めました。おかしいなと思ったのは、姿勢が不自然で、普通の人間のように見えなかったことです。無理に顔を見ようと近づいていったその時、突然その影が動き出しました。
「えっ…?」
私は思わず立ち止まりました。影が、まるで意図的に動いているかのように、ゆっくりと足元から立ち上がり、プールの縁を沿ってこちらに向かってきました。恐怖が一気に湧き上がりましたが、目が離せませんでした。足音が響くわけでもなく、ただその影だけが移動しているのです。
そして、最も不気味だったのは、その影がプールの水面に映ったときでした。水面に映った影は、普通の人間のものとはまったく違っていました。身長は異常に高く、手が長くて異常に細い、まるで人間ではない何かのような形をしていたのです。私はその瞬間、心臓が跳ねるような恐怖に襲われ、全身が震えました。
その影はじっと私を見つめているようでした。目が合った瞬間、冷たい風が吹き抜け、全身が凍るような感覚に襲われました。今すぐにでも逃げたいという気持ちが湧き上がったのですが、足が動かなくなり、体が動かないまま、その影がどんどん近づいてきました。
ようやく我に返り、思わず足を速めてその場を離れました。振り返ると、影はもういませんでしたが、プールの水面に浮かんでいたその姿が今でも忘れられません。あれは何だったのか。誰もいないはずのプールサイドに立っていたその人影が、今でも私の中で解けない謎として残っています。
🏫学校の階段を登るときの異常な重さ
(投稿者:R・Nさん/東京都・10代女性)
あれは、高校に通っていた頃の話です。放課後、私は友達と一緒に残って、クラブ活動の後片付けをしていました。部活が終わると、他の生徒たちはとっくに帰り、校内は静まり返っていました。私は遅くまで残ることが多く、そんな静かな空気に慣れていたつもりでしたが、その日は何かが違った気がしてなりませんでした。
その日の最後の片付けを終え、時計を見ると、すでに午後8時を過ぎていました。教室の灯りを消し、下の階のロッカーに向かうため、階段を登ることにしたのです。
普段なら、軽く感じるはずの階段も、なぜかその日は異常に重く感じました。階段を一段登るごとに、体がどんどん重くなっていくような気がしました。最初は気のせいだと思って無視していましたが、どんどん足が動かなくなり、まるで何かに引き寄せられるような感覚に囚われました。
「なんだろう、これ…」
私は気味悪く感じながらも、何とか足を動かそうと必死に力を込めました。しかし、まるで足が鉛のように重く、体全体が押し潰されるような圧迫感に襲われていました。息も苦しくなり、体が思うように動かない。
そのとき、ふと気づくと、階段の上から不安な空気が漂っているような気がしました。まるで誰かが待っているような、そんな感じがしたのです。思わず後ろを振り返りたくなりましたが、その不安を感じる間もなく、足が動かなくなったことで、どうしても上に向かうことができませんでした。
さらに階段を登るうちに、気分が悪くなり、目の前がぼんやりと霞み始めました。足元がふらつき、意識が遠のいていくような感覚に陥りました。「もう少し…もう少しだけ…」と自分に言い聞かせて、必死に階段を登り続けたのです。
そして、ようやく最上階に近づいたとき、突然、何かが自分の体を引っ張るような感覚がしました。体が異常に重く、力を入れても一歩も進まなくなってしまったのです。背中に冷たいものが触れるような感覚がして、思わず振り返りたくなりました。
その瞬間、階段の向こうから何かが見えました。それは人影のようで、ただただじっとこちらを見ているような気配を感じました。目を合わせた瞬間、背筋が凍りつきました。おそらく何もないはずの空間に、はっきりと存在しているものを感じたのです。
私はその場で立ちすくんでしまいました。息が荒くなり、背後から不気味な音が聞こえてくるような気がして、全身が震えました。「上に行くのが怖い…」と思った瞬間、突然、その圧迫感がなくなり、ようやく足を動かせるようになったのです。
私はすぐにその場を離れ、下の階に駆け下りることにしました。階段を下るその間、背後から誰かが追いかけてくるような気配を感じましたが、振り返ることはできませんでした。無事に階段を降り切った後、教室に戻り、ようやく安心することができました。
あの時の異常な重さと、上の階で感じた不気味な存在感は、今でも忘れることができません。あれは一体何だったのでしょうか…。それ以来、夜遅くまで学校に残ることは一切なくなりました。
💬編集者コメント・備考
「学校の怪談」は、誰もが通るあの頃の記憶の中に、ひっそりと棲みついている。
エピソードは、学校の身近な場所で繰り広げられる恐怖を描き出しており、強い印象を与える内容となっている。どのエピソードも、普段何気なく過ごしている学校の風景の中に潜む不気味さを巧みに引き出しており、日常の中にひそむ恐怖のリアリティが感じられる。
特に、廃校の廊下に響く足音や音楽室のピアノの旋律などは、読者にとって共感しやすい場所での不気味な体験を描いており、「もし自分がその場にいたら…」という緊張感を感じさせる。また、自転車に乗っているはずの人影や昼間の教室での奇妙な影など、日常的な出来事に突如現れる異常が読者を一気に恐怖の世界に引き込む要素となっている。
「自分の学校にも似たような話があった」
「今でもあの廊下は通れない」
そう感じた方もきっと多いはずである。
皆さんの記憶の奥底にも、まだ言葉にしていない“学校の怪談”が眠っているかもしれない。
次は、あなたの番だ。
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