🧠厚木恵心病院跡とは
厚木恵心(けいしん)病院跡は、神奈川県厚木市七沢の山間部に位置する廃病院である。かつては精神科・内科などを標榜していたが、1990年代に閉鎖され、その後は廃墟マニアや心霊スポット探訪者の間で知られる存在となった。
正式な閉院理由は老朽化や経営難とされているが、ネット上では「火災による死者の発生」「医療ミスの隠蔽」など、さまざまな噂が飛び交っており、真偽不明のまま都市伝説として拡大していった。廃墟化した後も、点滴スタンドやカルテ、手術台などが一部残されていたことから、「時が止まった病院」として多くの人々に恐怖を与えてきた。
厚木恵心病院跡にまつわる体験談には、共通して「声」「音」「映像」といった感覚を通じた怪異が多く語られている。中には精神的に異常をきたしたという報告もあり、単なる肝試しでは済まされない領域にあるといえる。
現地はすでに解体されているが、その記憶と怪異はネット上に「生き続けている」状態である。
🧟♂️厚木恵心病院跡|体験談まとめ
①うめき声が病棟内に響いた
ある若者グループが夜間に病院跡へ侵入したところ、2階の廊下を歩いている最中に「低いうめき声」のような音を聞いたという。声は近づいたり遠ざかったりを繰り返し、明らかに風や動物ではない「人の発声」だったと証言されている。
同行者の一人は声を聞いた直後に激しい頭痛を訴え、途中で帰宅することになった。帰宅後もしばらく悪夢に悩まされ、「あの声は“誰かを呼ぶ声”のようだった」と語った。
②点滴スタンドが勝手に倒れる
昼間に訪れた廃墟マニアによる報告では、病室に残されていた錆びついた点滴スタンドが突然倒れたという。風もなく、地震などの揺れもなかったことから、単なる偶然とは考えにくいとされている。
その人物は「何かに“入ってはいけない空間”だと警告されたようだった」と語っており、それ以降は廃病院系の探索を一切やめたという。
③赤ん坊の鳴き声が聞こえた
こちらはかなり有名な話で、院内で赤ん坊の鳴き声がしたという体験談が複数存在する。特に夜間に録音機材を持ち込んだ探検グループが、「オギャー」という声を明確に収録したとされ、当時はYouTubeなどにも一部アップされたことがある。
厚木恵心病院が産婦人科を併設していたかどうかは不明であるため、この鳴き声の正体は未解明のままである。
④病室の鏡に映った顔
「心霊写真」を目的に院内を撮影していた人物が、古びた病室の鏡を撮影したところ、自分たち以外の“誰かの顔”が映り込んでいたという報告がある。しかもその顔は鏡の中だけでなく、撮影したスマホにもはっきりと映っていた。
この写真はのちにネットに流出し、短期間だけ話題になったが、あまりに不気味だったため削除されたとされる。写真を撮影した人物は、以降数日間体調を崩し、謎の熱にうなされたとも語っている。
⑤地下に続く通路を見た
一部の体験談では、「手術室の奥に地下へと続く階段があった」という証言もある。実際にその階段を下りようとしたが、異様な冷気と耳鳴りのような音に阻まれて断念したとのこと。
この「地下階」は都市伝説的な扱いになっており、“病院で行われていた非合法な実験”などの噂とともに語られている。
⑥探索後に「夢に出た」
共通して報告されるのが、「厚木恵心病院跡を訪れた後、夢に女性の霊が出てきた」という証言である。夢の中では、白い服を着た女性が何かを訴えるように立っており、目が合うと「来ないで」「来ないで」と繰り返すという。
この夢を見た人は男女問わず存在し、病院に入った者への警告ではないかと噂されている。
📚出典と派生・類似伝承
インターネット黎明期から、「関東最恐の心霊廃病院」として2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)や都市伝説系まとめサイトなどで頻繁に取り上げられてきた。投稿者の多くが「院内でうめき声を聞いた」「物音がした」「窓の外から覗かれていた」といった心霊体験を共有しており、それらの書き込みが伝説化を後押しした。
特に「2階の個室に女性の霊が出る」「地下室が存在し、そこで何かが行われていた」といった詳細な噂も多く、他の廃病院系心霊スポット(例:千駄ヶ谷トンネル横の旧病棟、稲川淳二が語る某病院跡)と同様のパターンで語られることが多い。
🎬メディア登場・現代への影響
テレビや新聞などの大手メディアでは積極的に紹介されていないものの、YouTubeを中心としたオカルト系チャンネルや、心霊系インフルエンサーによって多くの検証動画が公開されている。
特に、
- 「廃病院で夜を明かす」系企画
- 「霊が映ったとされる映像」検証
- ドローンを用いた院内の空撮映像
などが人気を集めており、SNS上では「ガチで出る」「一番ヤバかった廃墟」として語られることも多い。ゲーム『SIREN』や『ナナシ ノ ゲエム』といったジャパニーズホラーの病院マップのモデルと類似しているとの指摘もある。
🔍考察と文化的背景
病院という空間そのものが「死」や「苦しみ」と密接に結びついており、精神科病棟や隔離病棟といった存在が、現代人の無意識に「怖い場所」として刷り込まれている。その上で実際に廃墟化し、物理的にも“朽ちていく死の空間”となった厚木恵心病院は、視覚的にも心理的にも恐怖を喚起しやすい舞台といえる。
さらに、廃墟を訪れること自体が違法行為に接近しており、その**「越えてはいけない一線」**を体感することが、一種の禁忌体験としてスリルを与えている。こうした構造が、都市伝説の繁殖土壌となっていると考えられる。
🗺️出現地点
- 名称:厚木恵心病院(跡地)
- 所在地:神奈川県厚木市七沢
- アクセス:小田急線「本厚木駅」より車で約30分
- 現在の状況:老朽化により2020年代前半に完全解体済み。すでに現地には病院の構造物は残っていないが、ネット上では記録写真や動画が今も流通している。
📎関連リンク・参考資料
💬編集者コメント・考察
厚木恵心病院跡は、ただの廃墟ではない。そこには“生と死の狭間”を見たという人々の記憶が幾重にも積み重なっている。現地がすでに解体された今でも、その名が語り継がれていること自体が、この場所が“本物”であった証左であろう。
だが一方で、無断侵入や破壊行為といったマナー違反も問題視されていた。心霊スポットが廃墟化していく過程で、そこに関わる人間の「行為」自体が怪異を生んでいくのかもしれない。
厚木恵心病院跡とは、廃墟と恐怖、記憶と伝説が絡み合い、すでに“この世にないもの”となった今なお、人々の想像の中で生き続ける場所なのである。
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