🧠イルミナティカードとは
『イルミナティ:ニュー・ワールド・オーダー(Illuminati: New World Order)』、通称「イルミナティカード」とは、アメリカのゲームメーカー「スティーブ・ジャクソン・ゲームズ(Steve Jackson Games)」によって1995年に発売されたカードゲームである。
このゲームのベースは、1982年に発売された同社のボードゲーム『Illuminati』に遡る。もともとこれらのゲームは、現代社会における陰謀論、秘密結社、政府の監視、メディアの操作、科学技術の進化などを風刺・パロディ化した娯楽作品であった。ルールとしては、プレイヤーが「イルミナティ組織」のリーダーとして裏から世界を支配することを目指し、各種勢力(メディア、金融、宗教、テロリスト団体など)をカードで支配下に置いていく戦略ゲームである。
予言カードとして注目される理由
このゲームが一般的なカードゲームとしての枠を超え、「予言カード」「未来を暗示していたカード」として都市伝説や陰謀論の界隈で騒がれるようになったのは、以下のような事情からである:
- 9.11テロを予見したかのような「爆発するツインタワー」「ペンタゴン」のカード
- 「パンデミック」「原発事故」「トランプ大統領」「黒人大統領」「東京五輪中止」などを想起させるイラスト
- カードに描かれた背景が実在の建物(中国・武漢の研究所等)に酷似
- 「Enough is Enough」や「Plague of Demons」など、意味深なメッセージや構図
つまり、1995年という時期にこれだけ多くの“未来の事件”を連想させるビジュアルや文言が含まれていたことが、陰謀論者やオカルトファンの想像力を刺激し、今日に至るまで数々の都市伝説や解釈を生み出してきたのである。
製作者への政府の介入?
さらにこのカードの不気味さに拍車をかけるのが、製作元であるスティーブ・ジャクソン・ゲームズにまつわる出来事である。1980年代末、同社はFBIによる家宅捜索を受け、複数のコンピュータや資料が押収された。公式には「サイバーパンク関連の不正アクセスに関する捜査」とされたが、その時期に同社が「イルミナティ」関連の資料やゲームを製作していたことから、「政府が内容を問題視した」「あまりに真実に近づきすぎたのではないか」といった憶測が飛び交う結果となった。
なお、この捜査は後に不当とされ、スティーブ・ジャクソン・ゲームズは訴訟で勝訴。アメリカの言論・創作の自由に関する象徴的事件ともなった。
イルミナティーカードの予言について
イルミナティーカードの予言が的中しているのではないかと言われている内容を以下に記載する。
🔥9.11同時多発テロ(Terrorist Nuke / Pentagon)
- 「Terrorist Nuke」カードには、爆発するツインタワー(WTC)を思わせるビルが描かれている。
- 「Pentagon」カードには、爆発しているペンタゴンらしき建物が描写されている。
- 一部の説では、カードを特定の角度から見ると「9.11」に見えるという隠された演出があると主張されている。

🌊3.11 東日本大震災(Tidal Wave / Nuclear Accident)
- 「Tidal Wave(津波)」カードでは、都市が巨大な津波に飲まれているイメージが描かれ、東日本大震災との類似が指摘されている。
- 「Nuclear Accident」カードには、原子力施設の爆発や放射能マークが描かれており、福島第一原発事故を想起させる。
- カードの一部には、「梅の枝」のような模様があり、それが日本列島を象徴しているという解釈も。
- 逆さにすると「3.11」に見えるという説もネット上で話題に。

🧔♂️トランプ大統領(Enough is Enough)
- 「Enough is Enough」カードに登場する男の姿が、ドナルド・トランプ氏に酷似していると話題に。
- カードのメッセージが「もう十分だ(Enough is Enough)」で、暗殺を示唆しているのではという憶測も。
- 実際にトランプ氏は大統領就任後、たびたび暗殺未遂や襲撃の標的になっており、その関連性が語られている。
- 暗殺未遂についても予言されていたのではと話題に。(耳のあたりに銃弾が描かれている)

🍕ヒラリー・クリントンとピザゲート事件
- イルミナティカードの中には、実名で「Hilary Clinton(ヒラリー・クリントン)」が登場する珍しいカードがある。
- ピザをモチーフにしたカードが「ピザゲート(Pizzagate)陰謀論」と関係しているとされる。
- ピザゲートとは、政治家が児童売買組織とつながっていたという根拠のない陰謀説(後に完全否定・デマと証明)。

👨🏿オバマ大統領(Backlash)
- 「Backlash(反動)」カードでは、黒人男性が描かれており、バラク・オバマ大統領の誕生とその後の社会的分断を象徴しているとされる。
- 特に、BLM運動や警察暴力に対する抗議などの広がりとカードのイメージが重なるといわれている。

🦠新型コロナウイルス(Plague of Demons)
- 「Plague of Demons(悪魔の疫病)」カードには、黒い霧に包まれた都市、人々がマスクをして逃げ惑う様子が描かれており、パンデミックの混乱を象徴するかのようなビジュアルとなっている。
このカードには、こうもりのような生物(デーモン)が空中を飛び回っており、新型コロナウイルスの発生源とされる「こうもり由来説」と一致する点が注目されている。
また、背景に描かれている建物の形状が、中国・武漢のウイルス研究所(武漢病毒研究所)の外観に似ていると話題になり、「予言ではないか」と陰謀論者の間で拡散された。

- 加えて、別のカード「Laboratory Accident(研究所事故)」では、実験室での爆発が描かれており、ウイルス漏洩説や人工ウイルス説との関連も指摘されている。
この2枚のカードを組み合わせて見ると、「こうもり」「パンデミック」「研究所」「爆発」といった要素が、新型コロナ騒動の構図と驚くほど似通っているという声もある。

📚出典と派生・類似伝承
元ネタ:イルミナティという概念
イルミナティカードの着想の源となったのは、実在した秘密結社「バイエルン啓明結社(イルミナティ)」である。1776年、ドイツのバイエルンで創設されたこの結社は、理性・啓蒙主義の普及を掲げていたが、政治的影響力を警戒されたため1785年に弾圧・解体された。
しかしその後、「イルミナティは地下で今も活動し、世界を陰から支配している」という陰謀論が欧米を中心に広まり、ロスチャイルド家、フリーメイソン、CIAなどとの結びつきを語る数々のストーリーが派生した。この概念が、スティーブ・ジャクソン・ゲームズによるカードゲームの主要テーマとなった。
類似の都市伝説・陰謀論的題材
イルミナティカードと同様に、未来を予言した・暗示したとされるコンテンツは他にも多数存在している。以下は主な類似例である。
■『シンプソンズ』の予言
アメリカの長寿アニメ『ザ・シンプソンズ』には、「トランプ大統領の当選」や「9.11に言及するシーン」、「コロナ禍を思わせる内容」など、イルミナティカードに劣らぬ“予言”的演出が散見される。これもまた陰謀論界隈では、「制作陣が内部情報を握っているのでは」と語られるネタの一つである。
■『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の未来暗示
この映画シリーズにも、「9.11テロを示唆していた」とされるシーン(時計塔、ツインパインズモール → ロンリーパインズなど)や、未来予測の精度が話題となっている。映画内のサイン、日付、商品などの小ネタが、陰謀的解釈を可能にしている。
■ドル紙幣の折り方による隠された暗示
アメリカの5〜100ドル紙幣を特定の折り方をすることで、ツインタワー崩壊やペンタゴンの爆発が現れるという説がある。イルミナティカードに加え、「通貨そのものに“予言”が施されている」とする考え方も都市伝説として拡散している。
■『新世界秩序(NWO)』という概念
「ニュー・ワールド・オーダー(新世界秩序)」は、イルミナティや世界政府が人類をコントロールしようとする未来社会を指す陰謀論的用語で、イルミナティカードの副題にも使用されている。この思想は『マトリックス』や『1984』など、支配と監視をテーマとした作品群と親和性が高い。
他の予言的カード・オカルト的作品
- タロットカード:未来予測・象徴の文化的起源として古くから存在。イルミナティカードの“象徴主義”とも共鳴。
- 『黙示録』やノストラダムスの予言書:特定の文言や構図が“災厄の予兆”とされる文献。
- 『ディープ・ステート』関連文書や告発本:政府や企業の隠された動きを暴露するものとして、陰謀界では一種の“聖典”扱い。
🎬メディア登場・現代への影響
📺 メディアでの取り上げ事例
イルミナティカードは、その“予言的”な内容や不気味なアートワークが話題を呼び、テレビ・雑誌・ネット動画など様々なメディアでたびたび取り上げられてきた。
■ テレビ東京「やりすぎ都市伝説」シリーズ
日本でイルミナティカードの存在が広く知られるようになったきっかけの一つが、テレビ東京系の人気番組『やりすぎ都市伝説』である。関暁夫氏がカードの一部を取り上げ、「未来を暗示している」と紹介したことで、一般層にも“都市伝説アイテム”として認知され始めた。
📌 特に話題となった放送回では「Terrorist Nuke」や「Pentagon」など、9.11関連カードを取り上げ、ネットでも考察が急増した。
■ YouTube・TikTokなどの都市伝説系チャンネル
現代ではYouTubeやTikTokなどで、カードの考察動画が数多く存在。特定の事件が起こるたびに「このカードが予言していたのでは?」という投稿がバズりやすくなっている。
例:
- 「Plague of Demons」と新型コロナウイルス
- 「Tidal Wave」と東日本大震災
- 「Enough is Enough」とトランプ大統領
これらの動画はエンタメとしても人気で、視聴者の関心が高いことから、陰謀論系インフルエンサーの定番ネタになっている。
🧠 大衆心理と「予言ゲーム」化
イルミナティカードは、次第に“実際の未来を示しているのではないか”という見方から、「今後どのカードが現実化するか」を予想するゲーム的要素として楽しむ文化を生み出している。
このような「予言ゲーム」化により、人々は実際の社会現象やニュースに対して、カードとの関連を探す癖を持つようになり、“意味のない偶然”を“意味ある予兆”と錯覚する構造が生まれている。これは心理学でいう「アポフェニア(Apophenia)」や「確証バイアス」とも関連する。
🔥 都市伝説ジャンルへの貢献
イルミナティカードは、現代都市伝説ジャンルの中で「視覚的に語れる陰謀論」という新しいフォーマットを確立した点でも評価されている。
- 抽象的な陰謀論に具体的な“カード”というビジュアルが与えられたことで、拡散力が飛躍的に向上
- 若年層やネット世代でも理解しやすく、都市伝説文化の入り口として活用される
- 他のメディア(アニメ・映画・ゲーム)でもカードの構成や象徴表現が模倣されるようになった
💬 SNSと“カード考察文化”の拡大
Twitter(現X)、Instagram、noteなどでは、イルミナティカードの1枚1枚をテーマにした考察投稿が日常的に行われている。たとえば:
- 「このカードの背景に描かれている建物、これ武漢研究所に似てない?」
- 「この男の指の形が“6”を示している。つまり…」
といった具合に、日常の事件・災害・政治問題と照らし合わせてカードを解釈する動きが常にあり、現代のSNSにおける“陰謀論的創作文化”に深く根付いている。
📌 現実社会への影響(ポジティブ/ネガティブ両面)
- ✅ 関心の扉として機能:現実の政治・社会・災害・歴史に関心を持つきっかけとして、有意義な知的刺激になる側面も。
- ⚠️ 誤情報の温床にも:一方で、カードの内容を事実や予言と誤認し、不安や恐怖を煽る投稿が流布されることも少なくない。
近年では「イルミナティカードが何を示すか」だけでなく、それをどう解釈し、どう拡散するかという観点が問われている。
🔍考察と文化的背景
🏛️ 背景にある思想:陰謀論文化とカウンターカルチャー
イルミナティカードは1980〜90年代、アメリカのカウンターカルチャーの文脈から生まれた。
- 制作者スティーブ・ジャクソンは、「権力構造の風刺」としてこのカードを設計。
- 当時のアメリカでは、冷戦終結後もCIA・NSAなど諜報機関への不信感が根強く、政府・メディア・企業による“見えない支配”を疑うムーブメントが広がっていた。
- 「イルミナティ=すべてを裏で操る影の存在」は、1970年代の風刺SF小説『イルミナティ三部作』(ロバート・シェイ&ロバート・アントン・ウィルソン著)で爆発的に広まり、サブカル界隈では定番のネタに。
このような風潮を受けて、イルミナティカードは“実在の陰謀論”と“パロディ”の境界を遊ぶメディアとして登場した。
🔎 つまり、元々は「真実を暴くツール」ではなく、「陰謀論という現象を揶揄するためのブラックジョーク」がそのルーツ。
🃏 なぜ“予言”とされるのか?
イルミナティカードが“予言のカード”とまで言われる理由には、以下のような要素が絡んでいる:
✅ 実在する社会問題や事件を「抽象的に描写」
多くのカードは、災害・テロ・金融危機・宗教対立・感染症・政府腐敗など、当時すでに懸念されていた問題をモチーフにしている。これらが後の事件と重なることで「予言」と解釈される。
✅ 視覚的記憶のインパクト
カードのアートワークは極めて象徴的かつ不気味で、視覚的インパクトが強いため、何か事件が起きるたびに「この構図、見たことある!」と記憶が結びつきやすい。
✅ 後付け解釈(アポフェニア)
人間の脳は、ランダムな情報の中にパターンや意味を見出そうとする習性があり、過去のカードと事件を“後付けで”関連づけてしまう傾向がある。これが「的中しているように見える」原因となっている。
例:「Plague of Demons」=コウモリ=武漢コロナウイルス → 発生後に再注目された構図
🌐 現代陰謀論の“共通言語”としての機能
イルミナティカードは、単なるカードゲーム以上の意味を持つようになっている。現代のネット社会において、以下のような“陰謀論の共通言語”としても使用されている:
- 「この事件、カードにあったよね?」という共有感
- 特定のカードを元にしたミーム(画像・コラージュ)の拡散
- “予言された未来”を語る際のビジュアル的証拠として引用
こうした使われ方は、神話や寓話のように“象徴”としての意味を持つカードが語られていることを示しており、イルミナティカードは現代の民間伝承(フォークロア)にも似た立ち位置を獲得している。
🧬 都市伝説・陰謀論文化への影響
- イルミナティカードの影響を受けて、他の類似メディアも登場(例:予言者をテーマにしたカード、ダークヒーロー系のゲームなど)
- 都市伝説系YouTuber・インフルエンサーが、カードの構造を模倣して「予言リスト」や「事件分析マップ」を制作
- エンタメと陰謀論の境界を曖昧にするスタイルの礎となった
🧠 “信じる”ことの意味
イルミナティカードの魅力は、単に「当たってる!」という面白さではなく、人々が“何を信じたいか”を映す鏡としても機能している点にある。
- 「支配されている」という感覚が安心感を与えることすらある
- 未来の不安を“すでに描かれていたもの”として処理することで、精神的整理が可能になる
- 「裏に真実があるはずだ」と思いたくなる衝動が、カードを神秘化させる
こうした背景には、情報過多社会における不信感と、説明を求める人間の本能が強く影響している。
🧩 予言と偶然の境界線
✅ 的中とされる有名事例
以下は、実際に「的中している」と多くの人が感じている代表的なカードである。
🗽 9.11同時多発テロ(Terrorist Nuke / Pentagon)
- 【ビジュアル】:ツインタワーが爆発している絵、ペンタゴンに攻撃が加わる絵
- 【言及】:カードを横にすると“9.11”のように見えるという説も
- 【考察】:偶然とは思えないリアリティと一致性があり、的中と見る声が強い
→ 発売が1995年であるため、「事後的な創作ではない」ことが確定している
🌊 東日本大震災(Tidal Wave / Nuclear Accident)
- 【ビジュアル】:津波と原発事故を描いたカード
- 【主張】:「ひび割れ」が日本列島に見える、逆さにすると“3.11”にも見えるという声も
- 【考察】:“津波+原発”という2重災害の一致は強い印象を与える
→ 日本を直接示している証拠は弱いが、構図が事件を連想させる点で的中感が強い
🦠 新型コロナウイルス(Plague of Demons)
- 【ビジュアル】:悪魔の群れ、空気感染、混乱、コウモリの姿
- 【噂】:武漢ウイルス研究所に酷似した建物、感染源とされるコウモリも描かれている
- 【考察】:パンデミックを扱ったカードは複数あるが、コウモリや建物との一致で注目度が上昇
→ 的中というより“示唆”レベルだが、後から見ると意味深に感じられる
🧔♂️ トランプ大統領(Enough is Enough)
- 【ビジュアル】:トランプに酷似した男が激昂し「もうたくさんだ!」と叫ぶ
- 【憶測】:暗殺や暴動を示唆しているとされる
- 【考察】:顔立ちが似ているだけでなく、トランプの言動と一致する面も多い
→ 絶妙なリアリティがあり、“予見された存在”とすら言われる
❌ こじつけと考えられるパターン
💵 ドル紙幣の折り方で「ビル崩壊」
- 【内容】:20ドル札を特定の形に折ると、ツインタワーやペンタゴンの攻撃が浮かぶという主張
- 【考察】:ビジュアルのこじつけに近く、設計段階から意図されたものではない
→ パレイドリア(意味のない模様を意味あるものと見る心理)の好例
🍕 ピザゲート(ヒラリーカード)
- 【主張】:「ヒラリー・クリントン=ピザゲート事件」を予言していた?
- 【実態】:ピザゲート自体が誤情報に基づいた“陰謀説”だったことが後に証明された
→ この場合、そもそもの前提が誤っているため「予言の的中」ではなく「陰謀論との親和性」が強い
👨🏿 オバマ大統領=Backlash
- 【主張】:「黒人大統領誕生の反動」を予言したとされる
- 【考察】:“反動”は多くの社会運動に伴って起きるため普遍的なテーマ
→ オバマ氏を直接予見したとは言い難く、抽象的なカードに“誰でも当てはまる”現象を読み込んでいるだけの可能性も
🎯 “当たった”理由の構造とは?
多くの的中例には、次の3つの特徴があります。
- 曖昧性のある描写(象徴的なビジュアル)
- 解釈の幅が広く、事件が起きた後に結びつけやすい
- 当時すでに潜在的な懸念があった
- パンデミック、テロ、災害などは常にリスクとして存在しており、“的中”は未来予測の一種
- 人間の認知バイアス(後付け・記憶補正)
- 事件後に「これって、あのカードっぽくない?」という形で再注目される
→ 事件が先、カードが後という誤認が生まれることも
- 事件後に「これって、あのカードっぽくない?」という形で再注目される
イルミナティカードが「予言の書」として語られるのは、事件との“直接的な一致”というより、“象徴性”と“再解釈の余地”があるからである。
- そのビジュアルとテーマ性が、“何か意味がある”と感じさせる
- 単なるカードゲームでありながら、現実を読み解く暗号のように扱われている
- “こじつけ”であることを理解した上で、「もしかして…」と感じる余白が魅力
🗺️出現地点
イルミナティカードは、アメリカ合衆国で制作され、世界中で販売されている。特に英語圏を中心に人気を博し、日本を含む他国でもコレクターや愛好者が存在する。
カードに描かれた出来事の多くは、アメリカやヨーロッパを舞台にしているが、世界各地の象徴的な建物や文化も取り入れられており、国際的な視点から風刺が行われている。
📎関連リンク・参考資料
💬編集者コメント・考察
イルミナティカードは、もともとはアメリカのカードゲームとして生まれた。しかし、現代社会では「予言の書」や「陰謀論の象徴」として神秘的なオーラをまとい続けている。実際には1990年代に創作されたフィクションのカードであり、そこに描かれているイラストも、単なる風刺や社会批評としての側面が強いはずである。
それにもかかわらず、9.11やパンデミック、世界的指導者の出現や大災害などとの奇妙な一致が後になって注目され、「これは偶然ではないのでは?」という疑問をかき立てる。まさに現代の都市伝説の鏡写しとも言える存在である。
特筆すべきは、その曖昧さゆえに解釈が広がる構造である。抽象的なビジュアル、示唆的なタイトル、そしてプレイヤーに委ねられた意味解釈は、現実の出来事と結びつける余地を十分に残しており、それが後付けであっても「予言」として成立してしまう要素を含んでいる。
また、このカードを取り巻く「語られ方」そのものが、都市伝説の一部であることも見逃せない。ネットの拡散力やSNS上のバズ、YouTubeでの考察動画──現代的なメディア環境が、1枚のカードに過剰な意味づけを施していく。その過程自体が、陰謀論文化の拡張装置になっていると言えるだろう。
もちろん、だからといってこのカードが無価値であるわけではない。むしろこの現象は、「人間は不確実な世界の中に“意味”を見出そうとする」という本質的な欲求を照らし出す鏡である。
イルミナティカードに描かれた世界は、現実とフィクション、予言と妄想、政治風刺と陰謀思想が交錯する混沌の舞台である。そこに私たちは、“未来を読み解きたい”という欲望と、“自分だけが真実に近づいている”という快感を重ねてしまうのだろう。
「これは本当に偶然なのか?」
そう問いかけながら、私たちは今日もまた、一枚のカードに“真実”を見出そうとするのである。
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