🧠ポリゴン事件とは
1997年12月16日、アニメ『ポケットモンスター』第38話「でんのうせんしポリゴン」の放送中に、全国で700人以上の子どもが体調不良を訴え、うち約150人が病院に搬送されたという前代未聞のテレビ事故が発生した。
これはいわゆる「ポリゴンショック」事件として広く知られている。
発作の原因とされたのは、番組中に数秒間にわたって繰り返された赤と青の点滅エフェクト(パカパカ)による強い光刺激であった。これにより、光過敏性発作(光感受性てんかん)を引き起こしたとされる。
この事件の直接の原因となったポケモンの名前から、“ポリゴンが原因でポケモンアニメが一時打ち切りになり、ポリゴンが封印された”という都市伝説が広まった。
📚出典と派生・類似伝承
事件の事実については、当時の大手報道機関――NHK、朝日新聞、読売新聞などが一斉に報道している。また、『日本てんかん学会』や厚生省も調査報告を発表し、後にNHKの特集番組や書籍『テレビが子どもを襲った日』(1998年、岩波書店)などでも取り上げられた。
この出来事により派生した都市伝説には以下のようなものがある:
- 「ポリゴンがアニメに出たから子どもが倒れた」→誤認
- 「ポリゴンがアニメから永久追放された」→半分事実
- 「実際に光の演出をしたのはピカチュウだったのに、ポリゴンだけが責任を取らされた」→よく知られた二次的伝承
この事件をきっかけに、テレビアニメ業界全体で「点滅・フラッシュ」の使用ガイドラインが策定され、アニメ演出の歴史にも大きな影響を与えることとなった。置づけとして語られる存在となった。
🎬メディア登場・現代への影響
ポリゴンはアニメ以外ではゲームシリーズにおいて問題なく登場し続けており、『ポケモン金銀』『ポケモンGO』『ポケモン剣盾』などにも登場している。
しかし、アニメシリーズでは1997年の事件以降、ポリゴンおよびその進化系(ポリゴン2、ポリゴンZ)も含めて一切登場していない。
つまり、「ポリゴン系のアニメ出演は現在まで完全封印されている」という事実がある。
一方で、当時の事件をベースにしたパロディや言及は、ネット文化や二次創作で多く見られる。たとえば以下のようなものだ:
- 『銀魂』などのギャグアニメで「パカパカ演出」自虐ネタ
- YouTubeやニコニコ動画の「放送事故」系ランキング
- 海外メディアによる「世界のTV事件10選」などの紹介
このように、実在する事故とキャラクターへの影響が都市伝説化した事例の代表例である。
🔍考察と文化的背景
「ポリゴン事件」は、単なるアニメ演出の過失ではなく、日本のアニメと視聴者の安全意識に根本的な変化をもたらした事件だった。
特に注目すべきは、実際に視覚効果を引き起こしたのはピカチュウの電撃だが、封印されたのは“登場回”のポリゴンだった点である。
これは当時、ポケモンブランドの中心だったピカチュウを守るための企業的判断とも言われ、ファンの間では「ポリゴンは冤罪だったのでは」と語られるようになった。
また、ポリゴンというキャラクター自体が「電脳」「バーチャル」などテクノロジーや情報の象徴であることから、90年代末の“ネットと現実の境界”への不安や違和感の象徴として都市伝説化した側面もある。
🗺️出現地点
ポリゴンはゲームシリーズでは以下の場所で登場している:
- 『ポケットモンスター 赤・緑』:シルフカンパニー(景品)
- 『ポケットモンスター 金・銀』:ラジオ塔や景品交換所
- 『ポケモンGO』:イベント限定で頻繁に登場
- 『ポケモン剣盾』:DLC「冠の雪原」でポリゴンを入手可能
ただし、アニメ登場は第38話「でんのうせんしポリゴン」のみ。
以降は進化形も含めて一切の出演がないという、極めて異例の扱いである。
📎関連リンク・参考資料
💬編集者コメント・考察
ポリゴン事件は、子ども向けアニメという安全圏の中で突如現れた“現実の危機”であり、エンタメが社会的責任を問われた象徴的事件であった。
当時の被害の大きさから、その後のアニメ制作全体が見直され、結果として視聴者の安全が守られるようになった点は評価すべきである。
だが一方で、「原因ではなかったのに封印されたポリゴン」という存在が都市伝説化しているのは、“企業ブランド保護”と“キャラクターの運命”の複雑な関係性を示している。
ポリゴンが再びアニメに登場する日は来るのだろうか?
その答えは、ポケモンというコンテンツが“過去の出来事とどう向き合うか”にかかっている。
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